「きっといつか夢から醒めてしまうね。-有村佳奈個展-」が無事終了しました。
ご来場ありがとうございました!!!今回は、沢山の方と交流できて、とても充実した日々でした。

 

この個展は今年の春に急遽「やろう!」と決めた展示だったんです。

 

というのも。。。。

 

これまでずっと自分の作風を探し求めて、いろんな実験をしてきました。
大学の卒制の頃、、、いまから10年ぐらい前は主に写真。杉本博司やAndreas Gursky、またドイツ写真のコンセプチュアルなアート写真に影響をうけてしばらくは写真を試しました。長時間シャッターを開けっ放しにして、残像だけを写し取る作品を作ったり。また高木正勝に影響うけて映像とったりとね。でも卒業後、昔からドローイングやコラージュのスケッチブックに描くことは続けていて、最終的にやり続けていたのは「絵」でした。そこで、遊び感覚のスケッチブックからキャンバスに描き込むことに挑戦。以後、自分の世界を探求してきました。描くことは好きだけれど、「自分はこれだな!」っていう感覚が掴めず、ずっと試行錯誤。ただ描くだけではなく「自分だけの価値を作りたい」とずっと思い続けていたんですね。これが本当に難しい。私は基本的に直感第一人間なので、「ピンとくる感覚」がこないことには、確信が持てない。理屈ではないんですね。

 

それが今年に入って、“何か”が掴めた感覚がありました。
その掴めた感覚にきっかけになる作品が「夢か現か」という作品でした。

もう1人の自分が鏡をみるとウサギとなっているという、ちょっとホラーテイストの作品です。

 

 

これは実体験をもとにした作品です。
或る日、アレルギーが発生して目がかなり腫れてしまうという事件が自分に起こりました。鏡をみた先にいる自分の顔は、いつもとは全く違う装いをしていました。リアルに感じる恐怖がそこにはあったんです。アナフィラキシーショックの一歩手前だったという病への恐怖はもちろんですが、「いつもとは違う恐怖」。でもこのリアルなホラーは日常のあちこちに潜んでいるし、「夢なのか現実なのか」という感覚を題材にしていくことは凄く面白いなって感じたんですね。
そして絵を描くにあたってのウサギとの出会い。これは完全にDavid Lynchの影響です。彼の夢の描き方が凄く好きなのと、「なにを考えているかわからない」という不気味さと可愛さの共存。そう、私が描く上で「可愛い」はとても大事なのです!

待ち望んでいた「ピンとくる感覚」がやってくると筆が進むのがはやいはやい。

 

そしてこのタイミングで春にアートコンプレックスセンターで開催される「stella nova6」という企画に参加することが決まり、描いたのが下記の作品です。

作品タイトル「××ベットルームへようこそ」

 

ホラーな要素と可愛さの要素のバランス、そして自分の好きなファッションや世界観との共存の仕方をこのグループ展で模索しました。このとき出展したのは計6点。まだ横顔の絵があったりと方向性を探りつつ、最終的にこの「××ベットルームへようこそ」を描いて、まるまるウサギ顔を描くことから、‘仮面’に変化させることで、次のステージを掴めた感覚になったんですよね。

これは、今年中に最終形態に近いものが描けるはず!そう感じてこのグループ展が開催される時に、個展の開催を決めました。
個展の会場を抑えたのが5月の上旬。全部新作で埋め尽くさないと!そうスイッチが入って、全部で21点制作を進めていきました。(この間、数点駄作も生まれましたが、それは省きます。)

「なにを考えているかわからない」。けれど、観る人がもっとどんな表情をしているのか想像してほしい。ウサギ仮面の奥に隠された物語を観る人に作ってほしい。そう思って、表情のヒントになる唇を描くようになりました。唇が好きだという単純な理由もあります。また、残像のような、ノイズのような要素を取り入れてみたり。色々試していった結果、今回の個展で発表した作品に繋がっていった感じです。

「ピンとくる感覚」をいかに自分の作品にしっかり落とし込むかが今回の個展の鍵であり、自分の課題でした。
結果、根詰める日々ではありましたが、かなり楽しく制作ができました。なにも掴めていないまま描き続ける方が、しんどいですからね。

ですが搬入の3日前、制作も完了して作品を配送完了した途端、体調をガクンと崩したので、やはり凄く身体が力んでいたんだなーって実感しました。 体力つけないとな。。。。

展示して自分でも「よしいいぞ!」という実感があり、同時にお客さんの反応も良く、自分の意図が伝わっていることも感じる事ができて、ますます「よしいいぞ!」という充実感も得ることができました。本当皆さんに感謝です。自分1人だけで「よしいいぞ」だとそれはやはり自己満足で終わっていることになってしまうのでね。「ご協力ありがとうございます(泣)。」という気持ちでいっぱいです。

 

また、「Twitterみてきました!」とネットの拡散力に驚かされつつ、本当ありがたいなーって感じました(泣)
数年前に個展を開催したときは、自分でもそこまでSNSを使いこなせていなかったこともあり、今回は少しずつガンバってみようと色々試行錯誤していましたが、その試行錯誤が実を結んでいたようで、、、自分のsns成長にも感動しました(笑)。

と、今回の個展開催するにあたっての裏話でした。

「ピンとくる感覚」を掴むための1年でしたが、この感覚をより研ぎ澄ましていく必要があります。
精度を高めていきつつ、世界を広げていくイメージですね。

来年の展示も決まりつつありますし、新しいお知らせもできるかと思います(^ ^)
また皆さんに見て色々と感じてもらえるように精進していきたいです!

個展開催にあたっての、演出に関するこだわり等はまたブログに載せますねー。
本当にありがとうございました!