2016年
キャンバス/アクリル絵具
910x 910mm

或る日、皿洗いをしていた。
体調が悪かった。そして異変を感じた。
でも何故か「いま皿洗いを終わらせてはいけない」と自分に命じて作業を続けた。嫌な予感を拭えないというのに。予感が的中することを嫌がった。去ってほしかった。が、時間が経てば経つ程、‘予感’は増幅していく。

これはまずいことになった。お茶碗を洗いながら、己の顔が変形していくのを感じたのだ。いつもより1.5倍速で洗い物を終え、洗面所に向かった。おそるおそる見る鏡。いつもみている自分の顔。けれど、鏡に映ったのは「いつもみている自分」ではなかった。自分の知らない顔が鏡の向こうに存在していたのである。

あなたは一体誰?

…まるでホラー話のような話でしょう?でもホラーではありません。実体験。怖い話の実体験?いえ、そんな大層な話ではないですが、種を明かすと面白くなくなるので、明かしません。この実体験をもとに創造しました。