ここでは「Landscapes展」で発表した作品について解説したいと思います。
私が描くLandscapesの旅
「Landscapes」ときいて直感的に頭に浮かびあがったのは、ゲルハルト・リヒターの「Landscapes」という画集です。これは自分が持ってる画集の中でも一番好きな画集であり、そのタイトルだったことから、すぐに頭に浮かびました。ある意味、私のなかで「Landscapes」というと「リヒター」というくらいイコールで出来上がっていたのです。
ですが、ここではもちろん「自分のLandscapes」を発表しなくてはいけません。私にとっての“Landscapes”を模索しました。
私は日頃「夢」の世界と、「現実」の世界が交ざり合った世界を探求していますが、これまでの作品でそこまで「外の世界」が画面に登場することは少なかった。展覧会タイトルが“Landscapes”とついていることもあり、いつも室内にいたり夢の中の風景のなかでフワフワしているいつも描くウサちゃんを現実の世界に外出させることにしました。
モデルになってもらっている子に夜の三軒茶屋を歩いてもらい、撮影しながら絵の構図を決めました。街は夜歩くと不思議な魅力が増します。昼間とは違う顔。まさに夢への入り口のようなイメージ。夢と現の世界を探求する私には持ってこいな題材だな、と撮影しながらゾクゾクっと感じましたよ。
案外作品を描き終えるまでは「自分がどこを向かって走っていたのか」ということは自分で分かっていないパターンが多いです。描き方はひとそれぞれで、コンセプトから下絵、配色まで最初にがちっと決めてしまう人もいれば、着地点を模索しながら描く人もいる。私は後者です。全てを描き終えて、展示をしたからこそ、「自分が見たかった光景」がわかるパターンです。
私が描くうさちゃん達はみんなそれぞれモデルもいるし、自分だったりもしますが、基本的に「自画像」の一種です。描くあの子達は自分の一部分を表しているわけですが、何気なく「現実の世界に外出させた」ことは、これは自分自身の「もっと外の世界に飛び出したい」という一種の気持ちの現れなんではないかと、ふと感じました。ここで言う「外の世界」というのは「自分の知らない世界」のことです。この無意識の声が、絵になって現れたんだと思います。そう思うと、無意識の絵とは、面白いし、怖いですね（笑）
さて、実はこの展覧会を企画したondoの池田さんが、最初の打ち合せの際に「3人にとって次のステップに繋がる展覧会にしたい」と話をしてくれました。「次のステップ」ということを意識して描いた作品達が、いったい「どこの外の世界」に繋がっていくかは、いまのところ未知数です。これもまた時が経てば、わかってくる気がしていることのように感じています。
絵が語り合うレイアウト
さてこちらの展示自体は、「女の子の日常」をイメージしてレイアウトを考えました。
お化粧して、姉妹で遊んで、恋人と待ち合わせして、寝室に移動して、おやすみなさい。っていうちょっとしたストーリー仕立て。もともと、この流れで展示しようとしていた、、、というより、自然とこの流れになりました（^ ^）
絵が組み合わさると、絵同士で語り合っているような空気を感じることがあります。この空気を感じるのが楽しいので、仕上がった後で、配置を考えることが好きです。
寝室シリーズは、夢の中に誘ってくれます。
寝室を描くときは、部屋の空気や香りが漂うように意識して制作しています。
妖しげだけど切ないような甘いような、ね。
最後に今日の一枚作品をご紹介。
タイトル「私とあなたと夜の間 3℃」
サイズ｜22.7×22.7cm
キャンバス・アクリル絵具
これが夜の三軒茶屋を歩いてもらったモデルさんをもとに描いた作品のひとつです。
もちろん背景や地面の色味は、こういう色合いではないので、三軒茶屋を歩いてもこのカラーの場所は見当たりませんよー（^ ^）ビビットな色合いと彼女の雰囲気がマッチしていてこれもお気に入りの一枚です。（まぁ描いた作品はどれもお気に入りなんですが）
目元も隠れているし、これは口元も手で隠されていて、余計にどんな表情なのか気になります。でも色味の効果か、柔らかい表情してるの伝わっていると思うんですが、どうですか？想像して楽しむのも絵の楽しみ方の一つですよね〜♪
こちらの作品のオンライン情報はこちら↓
http://store.ondo-info.net/items/artist/landscapes/8504/
Infomation
「Landscapes展」
作家｜有村佳奈・植田陽貴・田中梢
場所｜Ondo（土佐堀・大阪）
日程｜2018年2月1日〜2月12日
open 12:00−19:00／close 月・火
住所｜〒550-0001 大阪市西区土佐堀1-4-3 西田ビル3F
http://ondo-info.net/gallerys_osaka
＊オンラインショップのお知らせ＊
今回のlandscapesの作品が一部オンラインでも取扱開始しました。
http://store.ondo-info.net