今回発表している作品のうち5作品には文章も一緒に添えられております。
作品集を見ていただけるとわかるんですが、絵と一緒に文章も作品発表しているんです。コンセプト文というほど硬くもなく、詩のようなものですね。

 

私は日々生活している中で、モヤモヤすることや疑問に思うことは絵のテーマにして描くことで昇華させています。これは描くことで解決するというわけでなく、モヤモヤを薄れさせるくらいのイメージですね。今年はなんといってもこの「モヤモヤ」が多発することが多くありました。今回はこの記事でそのモヤモヤをどう描いたかを4作品ピックアップして紹介したいと思います。

 

 

タイトル「魔女の焚き火」
制作年|2020年
サイズ|1167 ×910 mm
Canvas/Acrylic paint


「炎上」を見るたびに、
心はどよめく。
無関心のようでいて、
本当にそうなの?

傍観者の私。
参加者の私。
楽しんでいる私。

どこかに存在している
自分の形に、慄く


 

文章で書いてる通り「炎上」がテーマですね。
今に始まったことではなく、前から目にするSNS上で行われていた行為ですが、まぁ今年は特に目にすることが多かった。または注目してしまう自分がいたと言った方が正しいんでしょうかね。気にしたくないのに、目にしてしまうジレンマです。どんな事項であろうとも傍観者でいようと思っているのが自分のスタンスですが、でも本当に100%傍観者なのか。自分に対しての疑問が湧くわけです。「そんなことを言うなんてあり得ないよ」と思う自分と、「でも人間だから仕方ないところあるよね。」って思う自分。全てに興味がないわけではなく、気になってしまう問題もある。モヤモヤです。
というわけで、この絵に登場する女の子たちは、全部別の意識を持った自分の姿です。
被害者になる恐れや、加害者かもしれない恐れ。
多分このモヤモヤは、時を経てやってくること間違いなしです。いてもたってもいられなくなったら、「魔女の焚き火2」として描くことになるでしょう。

 

 

タイトル「約束しないで」
制作年|2020年
サイズ|1167 ×910 mm
Canvas/Acrylic paint

あなたの臨む
「共感する私」に、
私はなれない。

嬉しそうに話されても
悲しそうに話されても
どうしても
同じ気持ちにはなれないの。

ごめんね。

だからどうか、
私にその手を差し出さないで。


 

こちらは「同調圧力」がキーワードです。これも今年よく目にした言葉でもありますね。大の苦手な圧力であります。苦手なんだけど、これも「じゃあ、あなたは共感を求めたことは全くないんですか?」と問われてしまうと、自分にも思い返すと、気づかない間に発している言葉の数々に思い当たる節があるわけです。小さい頃から友達との些細な会話を思い出しても、それは見え方の違いや、想いの違いがあるだけで「同調圧力」でもあると言えるな。。。と。難しいですね。気にしすぎると会話ができなくなってしまう。絵の女の子たちは、全く別の感情を抱えています。本来「じゃあ約束ね」と小指を合わせて指切りげんまんをする場面で、可愛らしく見えても、想いが重ならないと意味がない。
切なくも、でもこれも人同士だからこそとも思う。

 

 

タイトル「そして彼女は静かに呟いた。」
制作年|2020年
サイズ|727×530 mm
Canvas/Acrylic paint

 

彼女は静かに怒っていた。
とても静かに震えていた。

「わかってる。
 仕方がないことはわかっている。
 でも“不要不急”なんて、
 なんて残酷な言葉で、
 私の好きな世界を表現するのか。
 私にとって必要不可欠で大事な世界を。
 わかってる。わかってるけど、
 わかりたくない。」

そう何度も繰り返した。


わかっていても、仕方ないと思っていても、それでも悲しくなるやり場のない気持ちになることは多々ありますよね。この「不要不急」という言葉はまさにそれでした。最初は気にしてない言葉でしたが、繰り返されるたびに、どんどんある種の「負」の感情が自分を取り巻いていくのがよくわかりました。大切なものを侮辱された気持ちになる。でもどうしようもない。
絵に描かれた彼女は「夢の国」が大好きな子です。ミニーちゃん風の赤いワンピースを着て気持ちを抑えている。「わかっているけど、わかりたくない。」これは正直今回のことだけでなく、ある種常に抱えている私の気持ちの一つですね。

 

 

とさて絵と共に3作品紹介しました。
あえてモヤモヤしたテーマをもとに紹介したので、どんだけモヤってるんだと思われそうですが、全部が全部モヤモヤしているわけでありませんので(笑)

 

 

タイトル「僕らの未来」
制作年|2020年
サイズ|727×530 mm
Canvas/Acrylic paint

正解なんてわからない。
私はそれでも突き進む。


最後にDMに使用している作品の紹介で締めたいと思います。
この作品の手前のお花畑は「夢の世界」で、向こうに見える光は「現実世界」の灯りを表しています。白いワンピースの子はまさにその狭間にいて、夢から目覚めようと、現実世界へ歩き出そうとしています。どんな時も休みつつ、でも自分が信じる道へと進もう、、、という未来を作り出す自分自身へのメッセージですね。ここで大事なのは「休みつつ」という点です(笑)。ひたすらに突き進むだけでは疲れちゃいますからね。

 

 

と、長文になりましたが、ここまで読んでいただきありがとうございます。
会場に足を運べない方は動画やこういう解説文を通して楽しんでいただけると幸いです(^ ^)

 

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11月15日の17:00まで購入受付しております。


information


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会期:2020年11月3日(火)-8日(日)
会場:The Artcomplex Center of Tokyo 2F ACT1
住所:〒160-0015 東京都新宿区大京町12-9
開館時間:11:00-19:00(最終日は17:00まで)

https://www.gallerycomplex.com/schedule/ACT201/arimura_kana.html